(※こちらの記事は2021年2月に公開された内容を、2023年7月に更新しております。)
業務に欠かせないデータの保存や共有。中小企業のファイル管理の歴史と現在の時流、そしてこれからを解説いたします。
さまざまな機器やサービスは、利便性やコストだけでなく、ファイル管理のあり方についても考えながら、比較・ご検討いただくのがおすすめです。
中小企業向け「共有ストレージ」の時流
第1段階:個人のパソコン
中小企業で社員同士がファイルを共有したり保管したりする際、個人のパソコンの中のデータをメールで送りあって共有したり編集したりしていました。
第2段階:ファイルサーバー
メールのやり取りでは最新版がわからなくなったり、時間がかかったり、手間が多くかかっていたため、ファイルサーバーを立ててそこにデータを保管するようになりました。
第3段階:NAS
ファイルサーバーの管理は多くの中小企業では自社ではできず、サポート費用や機器の費用、スペースにかかる費用などがかさんでいました。技術の向上でハードディスクの信頼性が上がり、価格が下がってきたため、より低価格で省スペースなNAS(ネットワーク対応ハードディスク)が使われるようになってきました。
第4段階:クラウドストレージ ←今ここ
テレワークにより在宅勤務や社外での仕事が増え、ファイルサーバーやNASに社外からアクセスする機会が増えてきました。VPNをつないで接続することもできますが一手間かかり、速度も遅くなりがち、ネットワーク環境によっては途切れがちです。また、会社支給パソコンだけでなく、スマホや自宅のパソコンからもアクセスしたいというニーズが増えています。
そこで、初めからいつもクラウド上にファイルが保管してあり、ネットさえつながればいつでもどこでも、どの端末からでもアクセスできるクラウドストレージが普及してきています。
また、地震や洪水、火事等でオフィス内に置いてあるサーバーやNASが壊れてしまうケースもありますので、災害対策としてより安全なクラウド上にデータを保管しておこうと考える会社が増えています。
第5段階:ビジネスチャット
IT活用が進んでいる会社はメールではなく、TeamsやSlackといったビジネスチャットをメインに仕事をしています。これらのサービスに共有ストレージ機能があるため、別途ストレージを用意するのではなく、主にTeamsやSlackだけを使うようになっている会社も増えてきています。
しかし、ビジネスチャットは時間とともに情報が流れてしまいがちです。そのため、今共有が必要な情報はビジネスチャットに保存しつつ、長期間保存が必要な情報はクラウドストレージに保存するなど、会社によって使い分けを試行錯誤しています。
クラウドストレージ選びのポイント
「データは社員みんなの共有財産」
今の時代、一人の人しか使うことのできないデータがあるのは危険です。「属人化」と言いますが、その人以外何が起きているのかわからないので不正の温床になる、その人が辞めたらだれもわからなくなってしまう、浅間商事では、そのような事例を自社・他社含めて多く見てきました。
また、社長やマネジャーだけが情報を持っていて、情報が共有されない。この状態で「経営者目線になろう。自分で考えて動こう」というのは無理があります。
給与や人事と言った機密データも、上司や社長など複数の人が見られるようにして、チェックし合う。問題のないデータは、全社員、もしくはチームメンバー全員が見られるようにし、情報共有・意見交換しあう。さらにクラウド上で同時編集することで、社員が経営者目線で、自分で考え早く動ける、そういう時代になっています。
単機能のクラウドを選ぶのではなく、「複合機能」のクラウドを選ぶのがおすすめ
まずとにかく早くクラウドストレージが欲しいという会社には、単機能のクラウドストレージをおすすめしますが、そうでない会社には「複数機能が統合されたクラウドストレージ」をおすすめします。
なぜなら、今後のクラウド活用の発展性、ユーザーやセキュリティ対策の管理性、複数機能使った場合の費用対効果などを考えると、中期的に使う場合メリットが大きいためです。実際、単機能クラウドから複数機能クラウドへの移行事例も増えています。
無料版はあくまでもテスト利用のみ
最近のクラウドストレージは、ほとんどが無料で試用できます。
しかし、無料版は有料版と違い、ユーザーやアクセス権限の管理機能、セキュリティ対策機能、サービス利用保証(SLA)などが劣ります。サポート品質も不十分な場合が多く、業務用に全社員が利用するには適しません。
プライベート利用では十分な場合も多いですが、仕事での利用にはおすすめできませんので、本記事では割愛します。
クラウドストレージ導入の注意点
クラウドストレージ導入で特に重要なのは、最初の権限設定です。ここを注意しないと経理や人事など大事な情報が社内外の誰でも見えるようになってしまったり、誰でも消せるようになってしまったりする可能性があります。
また、ユーザーの追加削除なども常に最新にしておかないと、退職した社員がいつまでも社内の情報を見ることができる状態になっていたりすることもあります。
ITスキルに不安がある場合、サポートがしっかりしている会社から、導入後のサポートも含めて導入の相談をされることをおすすめします。
主要クラウドストレージ比較表
カテゴリー | 複合機能 | 単機能 | |||
---|---|---|---|---|---|
メーカー名 | Microsoft | DropBox | Box | TD SYNNEX株式会社 | |
商品名 | Microsoft SharePoint | Google ドライブ(Business Standard) | DropBox(Standard) | Box(Business) | おてがる!コワークドライブ |
特徴 | Excelデータの共同編集などMicrosoftのOffice製品との親和性が強み。セキュリティ対策にも定評がある。ネーミングやUIは固め。パソコンファーストで設計されているのでパソコンバックアップのOneDriveなども含まれている。 | Google ドライブはもちろん、Gmailなど個人で使っているサービスをそのまま使うことができる。検索機能に定評がある。クラウドファーストで設計されているのでパソコンへのアプリインストールなど不要な場合が多い。 | 個人や小企業の導入が多い。 | 大手企業や政府関連の導入が多い。ストレージ容量無制限プランあり。 | 国産クラウドストレージ。データも国内保管。 中小企業向けの使いやすさ、セキュリティの高さ、サポート品質がポイント。 PPAP対策で社外とのやり取りに使われることが多い。 |
価格 | 月額¥630×人数~ | 月額¥1,360×人数~ | 月額¥1,500×人数~ ※3名以上分から |
月額¥1,980×人数~ ※3名以上分から |
5ID 月額¥3,000~ |
容量 ※最小価格の場合 | 1TB+(10 GB×人数) | 2TB×人数 | 5TB | ストレージ容量無制限 | 100GB |
共同編集機能 | ◎ | ◎ | △ Microsoft 365に接続することで可能 | △ Microsoft 365に接続することで可能 | △ Microsoft 365に接続することで可能 |
※Microsoft 365の『OneDrive』、Googleの『Google ドライブ(個人向け)』は、個人用のストレージです。複数メンバーで共有する用途で比較するため、本表では『Microsoft SharePoint』と『Google ドライブ(Business Standard)』を比較対象としました。
浅間商事のおすすめ
私たちが中小企業の皆さんに一番おすすめしたいのは、Microsoft 365です。なぜなら日ごろ皆さんがよく使うExcel、Word、PowerPointと言ったOffice製品やWindowsとの親和性が高いためです。
また、私たち自身が2013年から活用しているため、自信をもって提案とサポートができるためでもあります。新しいクラウドサービスを導入する場合は、商品のよさももちろんですが、活用ノウハウを手に入れやすいかどうかも重要なポイントになります。
追加の費用負担や決裁の必要なくTeams(WEB会議・チャット)やExchange(クラウドメール機能)などMicrosoft365に含まれる新しいサービスを使っていくこともできますので今の時点ではMicrosoft365が一押しです。
中小企業向け「Microsoft 365導入・運用支援サービス」|導入から運用まで、浅間商事のITアドバイザーが強力サポート
デジタル化・業務効率化・コスト削減・をトータルに実現! 中小企業向け「Microsoft 365導入・運用支援サービス」。「いつでも」「どこでも」使えるMicrosoft 365。導入から運用まで、浅間商事のITアドバイザーが強力サポートいたします。
私たちが中小企業の皆さんに2番目におすすめしたいのは、『おてがる!コワークドライブ』です。単機能のため、見た目や機能がシンプルで活用しやすいです。まずはとにかく手軽にこれだけ始めたいという会社さんにおすすめです。1社月額3000円からと、低価格で始められます。こちらも浅間商事は自社で、社外との大容量データ共有の際などに活用しています。
「暗号化ZIPファイル」を送っていませんか? ~中小企業のセキュリティ対策に「脱PPAP」
暗号化ZIPファイルを添付してメールで送信する手法は、PPAPと呼ばれ、現在セキュリティ対策おいて多くの企業で課題になっています。今回は「脱PPAP」の背景から、対策までをご紹介いたします。
よくある質問
クラウドストレージを導入するとファイルサーバーはいらなくなるの?
費用やスペースの関係で廃止される会社もありますし、過去データの保管用や図面やデザインなど、大容量データ保存のため残しておく会社もあります。
セキュリティが心配です。
アクセス権設定はもちろん、ログイン時の多要素認証や利用端末の制限などをかけてセキュリティを強化することができます。
※多要素認証:IDパスワードだけでなく、SMSやワンタイムパスワードなど複数要素の認証を行い、セキュリティを高める方法。
もっと安いクラウドストレージもあるけど、どう違うの?
低価格のストレージは「Officeファイルの共同編集機能」がついていないものが多いです。この機能がないと今までのファイルサーバーのように誰かが編集しているときはロックされてしまい他の人が編集できないので、生産性が上がりません。
ビジネスチャットがあれば、クラウドストレージは必要ないの?
TeamsやSlackなど、ビジネスチャットのみで仕事をされている会社もあります。しかし、日々のやり取りなど動的なデータはビジネスチャット、就業規則や組織図など静的なデータはクラウドストレージ、大容量のデザインや図面はファイルサーバーなど、複数のストレージを使い分けている会社が多いです。
ご案内
浅間商事では、中小企業の皆さまのMicrosoft 365導入支援をしております。
2023年にマイクロソフト社のパートナー認定資格「Modern Workソリューションパートナー」を取得。Microsoft 365導入支援社数は300社を超えました。
100名以下の中小企業様へのご支援を得意としております。どこから始めたらよいかわからない、設定や活用方法がわからないなどお悩みがございましたらぜひご相談ください。ITアドバイザーがよりそうご支援をいたします。
なお、ITアドバイザーへのご相談は初回無料です。ぜひお気軽にお電話(0120-830-414)もしくはお問い合わせフォームからご連絡ください。