1907年創業の老舗クリーニング店である不二ドライ様では、6年をかけて勤怠管理やバックオフィス業務のクラウド化、サーバー・VPNからの脱却、売り上げデータの一元化などを浅間商事と一緒に進めてきました。
本記事では、その歩みを経営者と担当者それぞれの視点から振り返ります。
6年間で進めてきたこと
| 時期 | 改善ポイント | 導入製品・サービス |
|---|---|---|
| 2021年 | 給与と会計のクラウド化 | PCAクラウド導入 |
| 2022年 | 勤怠のクラウド化 | X’sion導入 |
| 2023年 | サーバー・VPNからの脱却 売り上げを速く・正確にデータ化 |
Microsoft 365・SharePoint導入 |
| 2024年 | 労務手続きの電子化 | オフィスステーション導入 |
| 2025年 | ↓ | SharePoint活用の定着 |
| 2026年 | 管理性とセキュリティの向上 | ネットワーク再整備 |
不二ドライ様について
不二ドライ様は、宇都宮市を中心に、主に栃木県内で店舗を展開されているクリーニング店です。
一般家庭向けのクリーニングに加え、布団や靴など幅広い品目を取り扱い、ホテル向けをはじめとした業務用クリーニングにも対応されています。
クリーニング店は、多店舗を経営するサービス業でありながら、自社工場を保有し、集配業務も行っていることから、製造業や運輸業にも通じる特徴もあります。
不二ドライ様は創業100年を超える老舗でありながら、無人受け取りサービスやスニーカークリーニングなど、変化するニーズに合わせたサービスを展開し、地域で愛され続けています。

課題:独自システムを中心に、サーバー運用が続いていた業務環境
不二ドライ様では、店舗の固定電話をスマートフォンへ移行したり、AI活用を進めたりと、社内のIT活用にも柔軟に取り組まれています。
一方で、バックオフィス業務には長年使い続けてきた独自システムや、手入力を前提とした運用も残っていました。
本社に設置したサーバーでは、売り上げや経理、勤怠、ファイル共有などを行う独自システムを運用していました。また、各工場とはVPNで接続されており、本社のサーバーを中心に業務環境が構築されていました。
長年運用してきた仕組みでしたが、次第にいくつかの課題が見えてきます。
- 独自システムは、少し仕様を変更するだけでも数十万円の費用がかかるため、業務に合わせて柔軟に改善することが難しかった
- POSレジを利用しているにもかかわらず売り上げは手入力で管理しており、売り上げデータの集計や分析の仕組みを十分に活かせていなかった
- サーバーは導入から長年が経過しており、いつのまにかバックアップが取れなくなっていた
導入当時は一般的だったサーバー、独自システム、VPNは、それぞれ個別に維持管理やセキュリティ対策を行う必要があり、運用面での負担も大きくなっていました。
今回はこれらの課題解決に取り組んだ6年間について、代表取締役社長の岡﨑様と、業務改革をご担当された総務部の鈴木様からお話を伺いました。

改善①:PCAクラウド・オフィスステーションで、バックオフィス業務を効率化
2021年、不二ドライ様が最初にクラウド活用を始めたのは、「PCAクラウド」による給与計算でした。
この時点では「利用していた会計ソフトをクラウド版に変えた」という簡単な変更だったそうです。
以前は、会計データを独自システムへ入力する一方で、データの喪失など、万一に備えて同じ内容を手書きの台帳にも記録していました。
手書きでの重複作業は不要になり、後述のSharePointの活用も進んだことで、ここ1年ほどで社内のペーパーレス化を実感できるようになりました。
さらに2024年には人事・労務手続きをクラウドで効率化する「オフィスステーション」を導入し、労務手続きの電子申請にも対応しています。
改善②:X’sionで、勤怠管理のクラウド化
2022年には、勤怠管理のクラウドサービス「X’sion(クロッシオン)」を導入しました。
これまで紙のタイムカードをもとに手入力で集計していた勤怠データが自動で集計されるようになりました。入力・集計作業の手間やミスが削減され、総務部門の負担軽減と効率化につながりました。
鈴木様:候補として、レジに付いている勤怠機能を利用する案もありました。でも、利用するのにコストがかかるのと、店舗の人しか使えません。事務や工場スタッフも含めて、みんなが使えるものってなんだろう?となった時に、浅間商事さんでも使っていると聞いて、X’sionを採用しました。
また、パソコンが支給されていないスタッフでも利用できるよう、店舗ではスマートフォン、工場では静脈認証による打刻を採用。今では職種や勤務形態にかかわらず、全てのスタッフの勤怠データを一元管理できるようになっています。

鈴木様:X’sionに変えてから、勤怠管理は格段に楽になりましたよ。もう全然違う!だってタイムカードを一個一個、手で計算していたんですよ。今考えるとありえないですよね。300人分とかやっていたんですから。
改善③:Microsoft 365・SharePoint導入でサーバーもVPNも不要に
2023年には、浅間商事の導入支援でMicrosoft 365 の「Teams(チームズ)」と「SharePoint(シェアポイント)」の利用を始めました。Teamsはチャットやオンライン会議、SharePointはファイル保管や共有のためのクラウドサービスです。
長年運用してきたサーバーと独自システムは、使われていない機能の多さや使い勝手の悪さに加え、保守切れやバックアップが取れなくなっていたことなど、複数の課題を抱えていました。
そこで、サーバーやVPNに依存せず、それらの管理やメンテナンスを必要としない環境を目指し、Microsoft 365 を基盤としたクラウド環境への移行を開始しました。
思い切ってサーバーを無くすと決めたあとはスムーズでした。
売り上げ、顧客管理、会計、経理など、会社経営と店舗運営に必要なほぼ全ての情報を独自システムで管理していましたが、このうち会計と経理は既にPCAのクラウド会計ソフトへ移行しており、残る問題は主に売り上げの管理でした。売り上げは、SharePoint上に管理用のExcelシートを作成して運用することになりました。

鈴木様:SharePointに売り上げ管理のエクセルシートを作ってPOSレジのデータを連携させました。独自システムができた当時はレジからデータを引っ張るという考えなんてなかったんだと思います。POSレジじゃない時代から使っているシステムなので、レジはレジだけで完結して、売り上げは伝票を元に入力して、会計は別の担当者がやっていました。そのころはデータは連携できていなかったし、そもそも連携する仕組みがなかったんだと思います。
始めは既存サーバーを残したまま並行して運用しましたが、なんとSharePointを導入した年にサーバーとVPNの撤去まで完了しました。
こうして、社内から大きな反発もなく、スピーディーかつ無理のない形で運用を切り替えることができました。
売り上げデータ以外でも、SharePointは利用を続けるなかで徐々に社内へ浸透し、ここ1年ほどでクラウド活用が定着しました。
また、以前は工場間でのちょっとした文書などのやり取りにFAXを使用していましたが、今ではSharePointを活用してファイルを共有しています。
鈴木様:ここ1年くらいでクラウドの概念が浸透して、『SharePointのここに入れておいてね』が通じるようになりました。
改善④:経営判断を支える、正確で迅速な売上データ
以前は、会議や経営判断に必要な数字を確認するために、社長や営業担当が総務部門へ都度依頼して資料を作成してもらっていました。しかし現在はSharePoint上で売り上げデータを共有しているため、必要な時に売り上げシートを確認するだけで最新の数字を把握できるようになっています。
また、以前は店舗やホテル部門など、立場や担当によって報告する売り上げの前提が異なっていました。営業担当は担当店舗の売り上げを、総務担当はホテルや外注を含めた売り上げを報告するなど、同じ「売り上げ」でも数字が一致しないことがあったといいます。

岡﨑様:数字が統一されているっていうのが一番大きいメリットかもしれないです。色んなところに色んな数字があったんですよ。決算の時以外でも数字をまとめたりしなくちゃいけない時があって。前は売り上げの数字ひとつをとっても、合わないことが結構ありました。
売り上げを SharePoint 上の Excelシートで管理するようになってから、POSレジのデータを活用できるようになり、売り上げや決済方法ごとの情報も、同じ指標で正確に集計できるようになりました。
さらに、月次の試算表作成も大幅に早くなっています。
岡﨑様:売り上げの試算表ができるまでが圧倒的に早くなりました。例えば、以前は5月の試算表ができるのが7月の半ばくらいでしたが、今は締めてから10日くらいで分かります。
改善⑤:複雑な仕組みをなくし、安全で管理しやすいネットワークへ
2026年には、ネットワーク環境の見直しを行いました。
きっかけは、長年利用してきたWi‑Fi環境の老朽化です。以前から「最近つながりにくい」と感じる場面が増えており、これ以上の延命は難しい状況でした。
そこで、ネットワーク環境を次のように見直しました。
- 家庭用Wi‑Fiから業務用Wi‑Fiへ移行
- 倉庫側にも中継ポイントを設置し、繋がりづらい死角を改善
- グループ企業と不二ドライで分かれていた回線を一本化
- ネットワーク機器を見直し、セキュリティ対策を強化
また、Microsoft 365 と SharePoint の導入も大きな後押しとなりました。
以前は工場から本社の共有フォルダへアクセスするためにVPNを利用していましたが、SharePointへ移行したことでその必要がなくなりました。そのため、VPN撤去後は工場ごとに独立したシンプルなネットワーク構成へ変更でき、管理負担の軽減にもつながっています。
その結果、
- ネットワーク構成がシンプルになった
- ネットワーク機器が管理しやすくなった
- セキュリティを強化できた
- 通信の安定性が向上した
など、多くの効果が得られました。

Wi‑Fi刷新後は、「今日つながらないね」といった声もほとんど聞かれなくなり、安定した通信環境で業務を行えるようになっています。
クラウド化の先に見据える、これからの業務効率化
不二ドライ様は6年間で、バックオフィス業務や売り上げの集計などを、いくつものクラウドサービスを活用して効率化し、サーバーとVPNの撤去まで完了しました。
SharePointやX’sionなどのソリューションを導入する際には、導入後の運用ルールを決め、従業員全員の協力を得ながら活用していくことが大切です。
浅間商事の提案に対して、不二ドライ様は「自社に取り入れるにはどのような業務の変更が必要か」検討を重ね、様々な課題についてご相談くださいました。その結果、浅間商事の担当営業と不二ドライ様の間で、各業務の効率化の実現に向けて着実に進めていくことができました。
今後の展望については、現在のExcelベースの売上表やシフト表を、誤操作が少なく誰でも簡単に使えるアプリケーションに変えていきたいとのことでした。
不二ドライ様の業務改善は、これからも続いていきます。浅間商事は、引き続き現場の状況に合わせながら、伴走支援していきます。
